大判例

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水戸地方裁判所 昭和41年(ワ)159号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕三 被告会社の使用主としての責任

<証拠略>によると、被告高橋は、昭和四〇年一二月三一日、前記自動車を使用し、被告会社の取引先の集金を了えて午後一一時過ぎ会社に戻り、高萩市の郷里に帰ることになつていたが、被告会社代表者から「今夜婦郷するなら電車で帰れ、前記自動車を使用するなら夜が明けてから帰るようにせよ」といわれていたにもかかわらず、自らこの手中にあつた鍵を用い、兄を同乗させ、この自動車を運転して高萩市に向う途中事故を起したことが認められる。

したがつて、同被告は、当時自動車を私用に供していたというべきであるが、同人は、元来被告会社の自動車運転の業務に従事し、当夜業務終了後も自動車の鍵を保管し、出発の時期については、使用者の意にそわなかつたとはいえ、自動車の使用を許されてこれを運転したのであるから、外形上は同社の事業の執行と異るところなく、そして、このような自動車の使用につき本件ごとき事故の発生は当然予測し得るところであるから、民法第七一五条の法意に照し、同被告の行為は、同条第一項にいう事業の執行に該当すると解するを相当とし、被告会社は、使用主として被告高橋が原告に対して加えた損害につき、賠償の責任を有する。

四 原告の損害

自動車が不法行為により損傷を受けた場合、被害者は(イ)その物件を行為前の状態に回復させるために要した費用と(ロ)修理期間中代替車を使用したとすればその使用料を損害として加害者に請求し得るが、本件のように被害者である原告が代替新車を購入し、事故にあつた車の修理をしなかつたときは、車の事故前の時価と事故の時価との差額を損害として請求すべきである。

そして、<証拠略>によれば、原告所有の前記自動車は、事故前の時価一九〇、〇〇〇円、事故後の時価(スクラツプとしての価格)一〇、〇〇〇円で事故による損害は、その差額一八〇、〇〇〇円であること、長島芳男は、昭和四一年一月中旬その鑑定をし、原告及び被告らにその鑑定の結果を通知し、被告らは、同月一七日頃、一八〇、〇〇〇円を携えて原告方に訪れたが不在のため、その後、月日は明確でないが遅くとも二〇日頃までの間に、原告に会い、一八〇、〇〇〇円を提供したが、原告はその受領を拒んだことが認められる。証人水越和男の証言中には、車の時価についてこれと異なる趣旨の証言があるが、同人は修理費の見積をしたのであり、時価については、一般的な例や、車を見た感じから述べているに過ぎないので、右認定を動かすに足りない。

つづに原告本人尋問の結果とこれにより真正に成立したものと認められる甲第三号証の一、二によると、原告は事故の日から代替新車を購入した日の前日である昭和四一年三月一七日まで七六日間に少くとも三〇日間代替車を借りて使用し、一日三、〇〇〇円づつ、三〇日分九〇、〇〇〇円を支払つた事実が認められ、そのうち被告らより自動車損害金弁済の提供があつた日までに支払つた分は、被告らに請求し得るところ、原告は現実に代替車を使用した日を明確にし得ない(原告自らその旨供述している)ので、全使用日数三〇日の七六分の二〇である八日(小数点以下四捨五入)と推定すべきであり、その日数の使用料は二四、〇〇〇円である。(太田夏生)

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